kyouの答案

予備試験受験生が悩みながら書いた答案をpdfで(ほぼ)毎日晒していく勉強記録ブログ。答案構成のマインドマップも晒してます。内容も見てもらえたら嬉しいですが、「毎日書いてるね」と思ってもらえるだけで嬉しいです。

予備試験民事訴訟法(平成24年)の答案を書いてみました。

予備試験を目指す運営人が予備試験民事訴訟法(平成24年)の答案を書いてみました。

当ブログの54通目の答案です。

先に予告すると今回書くこと多くてめちゃくちゃ長いです。笑

(文字カウントによれば6588字?ひぇ…)

その点、ご承知おきください。

 

少し間が空いてしまいましたが遊んでいたわけではありません。笑

1ヶ月くらい前から予備過去問をガツガツ解くという方針でやってきたし、その方針は基本的に問題ないと思うのですが、民法・商法の答練の敗北を経てやり方を大幅修正をしました。

 

これからはカンニング答案作成をしていきます。笑

いや、過去問を解くのは変わりないのですが、今まではその予習のためにやたらと時間かかってました。その分、意外と演習量が少なくて基本論点を網羅することができず、そこで民事系の答練では失敗したのでした。(その点、最低限の知識と書き方さえ身につければいい憲法なんかは演習量少なくてもなんとかなった部分がある)

そこで、前日までに必要なインプットを綿密に済ませて書くときはストイックに何も見ないで書くという今までのやり方を放棄して、1周目はカンニングしながら論文を作成したらどうか?と思い至りました。

きっと論証は本番までに身につけばいいのであって、今はまず本番でどんな問われ方をしてるか、そこに自分はどう書くのか、を早いうちから検討した方がいいと思ったのですね。それが固まればインプットも捗ることは憲法で実感してますし、それに書くことで答案で使えるインプットにもなると思いました。

そんな考慮から合格答案のイメージを身につけるために1周目(下手したら2周目も)はカンニングしながら解くことにしました。

そこでカンニング教材が必要になったわけですが、論証集は条文がないので使いづらいな、と。それにあくまで答案作成であり、タイムマネジメントは意識したいので、必要な条文を答案作成しながら探すという練習は欠かしたくなかったのです。

そこで以前から短答対策として視野に入れていた判例六法をカンニング教材にカスタマイズしてはどうか?と考えました。具体的には論証集に載っている重要判例をマークしていく感じです。これを短答だけでなく、論文用にも使えば2重の意味で一元化教材になるんでは?と。分冊すると持ち運びも楽ですし。

んで、その加工に民事訴訟法だけで4日もかかってしまいました。笑 その中でアガルートのテキストを粗く1周読めたのでまあいいのですが、結局週末でどれくらい答案を書けるかはちょっと謎です。笑

早くから過去問やっとけよ、自分て感じですが。

 

さてさて、前置きが大変長くなりましたが今回の問題はこちらの書籍で復習していく予定です。

 

選題はいつものようにアポロさんのブログを参考にさせていただきました。(下にリンクあり)

また、答案作成後はstudyweb5さんのブログを参考にしてチェックしています。許可いただいてない(というより連絡手段が不明)のでリンクは貼りませんが、もし興味がある人は検索してみてください。すぐ見つかると思います。

問題文も例の如く法務省HPからダウンロードしました。

 

 

【私の答案】

⑴雑な感想

・いやー、与し易い問題だと思いましたが、やりづらかったです。そして、それがなぜかが答案作成中はわかりませんでした。そして、studyweb5さんの解説読んでひっくり返りました。笑 予備試験ふけぇ…って感じです。笑

詳しくは後ほど。

 

⑵私が問題文にした書き込みと答案構成です。過去問の問題文は著作権的に問題なさそうなので掲載します。答案以上に判読不能ですが、まあ、恥を晒すブログなので…笑(作成所要時間48分)

drive.google.com

・まあ、時間かかってます。しかし、カンニングしながらなので仕方ないかと。そこは2周目3周目で改善します。焦りながらも条文と判例を調べていくカンニング答案作成は結構私の性格にはハマってる気もしました。

・さて、内容面。

設問1 。

前訴判決の既判力が後訴に及ぶかって話だとはすぐに気づきました。そして修習生Bさんの「前訴と後訴の訴訟物が異なる場合でも〜」という記述から、同一関係はないという前提で、他の先決関係、矛盾関係を検討していけばいいと考えました。つまり、誘導に乗っかるのであれば、前訴が明示的一部請求の場合、前訴と後訴の訴訟物が同じか異なるかについての記述はさほど求められていないという判断をしました。

そうすると、私のカンニング判例六法(と称する)には「前訴と後訴の訴訟物を比較して、両者が①同一関係②先決関係(前訴訟物が後訴訟物の要件になるなど)③矛盾関係(両立しない)にあたる場合、既判力が及ぶ」と書いてあり、それを軸に検討しました。

そうすると、①にあたらないのはもうBの発言から前提にしていいし、訴訟物を単に比較すると②・③にもあたらないと。そうすると、これは既判力及ばん。あれか、信義則で切る話か、と思い、その筋で検討しました。

(が、studyweb5さんの解説を読み、自分なりに考えた結果、この筋は恐らくですが間違いです。後述します。)

この間違い筋でいくと、主張①と主張②は訴訟物の比較で前訴判決の既判力が後訴に及ばないことは共通し、差は信義則で切れるかどうかということになります。その筋で検討しました。

設問2。

これは心証通りならむしろXはYに80万の債務を負ってるので、Xはその支払いをすべき判決が書けるか?という問題の読み方をしてしまい、そのまま行くと釈明権がどうのという解釈問題に大迷走していたと思います。

ここで多分そうではないな、と思えたのは配点割合7:3の指定でした。設問1 がそこまで重量級ではないと思ったので、この配点割合を見る限り、かなり少なめの分量で書くことを出題者は求めてそうだと。さらにいうと、もっとシンプルな構成が欲しいんでは?と思いました。私の筋ですと、①心証通りの判決書くには反訴が必要→②釈明権で反訴まで促せるか→③類推解釈とかでいける?→④いや、ダメでしょ→⑤じゃあ全部棄却しかないよね→⑥じゃあ、80万円どうする?→⑦うーん…てな感じでしたので、いや、これは下手したら2pいくぞ、と。

結局のところ、⑤全部棄却まではいくので、そこから話を進めるんでは?と思って、答案で示した感じで行きました。結局答案でも①から④を短めに書いてますが、恐らく点は入らないでしょう。

また、予備的抗弁は後回しが普通というのは復習時点で知りましたので、そこはインプット不足でダラダラ書いておりますね。記述の正確性も怪しいもんです。

さて、こんな感じで構成し、配点割合から大体の書く分量を最大66行として割り出して、答案を書き始めました。

 

⑶私の答案はこちらです。(作成所要時間50分)

リンクで飛ぶと拡大できます。

書いたものをそのままpdfにしてgoogleドライブで公開していますので、乱筆御免でよろしくお願いします。

drive.google.com

・時間は45分で書きたいと思って改めて測ったのですが5分オーバーしてしまいましたね。やはり、設問2の前記①〜④の過程が圧迫したものと考えられます。

・また、民事訴訟法の答案は多分ちゃんと書いたのは今みたくちゃんと勉強してからはほぼ初めて?予備は確実に初めてなので、書き方もしっかり固まってないですね。週末でしっかり慣れたいところです。

 

【復習のまとめ】

ここでは復習内容をまとめます。

・上記答案作成を受けて、アガルートの解説講義を聴き、当時の再現答案を確認しました。細かいところはやっぱり全然ダメなんですが、大きな流れは大体乗れたのかな?と安心して、最後にstudyweb5さんの解説を読んでみました。

結論から言えば、自分の答案破ったろかい、って思いましたよね。笑

・えーと、詳しくはstudyweb5さんの解説を読んで欲しいのですが、そこでは主張①について「先決関係にあたるので既判力が及ぶ」という筋で書いておられます。つまり、アガルートの筋や多くの優秀答案とは全く違う筋で書かれているのですね。困りましたね。

そこで自分なりにも考えてみました。したら、多分ですがこれstudyweb5さんが正しいんだと思います。

私自身、民事訴訟法がよくわかってないのでstudyweb5さん(のみならず、予備校解説、再現答案)の言ってることを正確に理解できてるか甚だ怪しいのですが、多分これ、仮にYの主張が(それが具体的にどういう状況かはパッと浮かばないのですが)信義則に反しないとしても、裁判官Aのいうように「第2訴訟において、裁判所は第1訴訟の確定判決で認められた売買代金債権の発生そのものを否定する判断をすることもできるのでしょうか」(問題文より引用)という話だと思うんです。

そうすると多分これ、シンプルに既判力に真正面からガッツリ抵触しませんかね?

【以下、相当混乱しながらも自分の思考整理のために書いてます。あまり真剣に読まないでください。というか次の【】まで読み飛ばし可です。笑】

多分、多くの人が参考にした判例最判平成10年6月12日だと思われる)は、「明示的一部請求した前訴で債権全部(または一部)の不存在が確定→残部は全部不存在であることも確定している。だから、訴訟物は別に考えるとしても、そもそも当事者(原告)が残部請求する訴えを提起すること自体が前訴確定部分の蒸し返しであり信義則に反するから不適法で却下(その部分は後訴裁判所はそもそも判断しない)」という理屈くさいんですよね。そうすると、後訴の訴訟物の前提となる要件(権利発生事由の存在?)については「不存在」が確定していて、よって後訴訴訟物の「不存在」が確定してると。そうすると訴訟物がないんだから、先決関係や矛盾関係すら成り立たず、既判力を及ぼすべき対象がそもそもない。だからこそ信義則を持ち出したと言えるんだと思います。(多分…?だいぶ怪しい)

けど、この問題では前訴認容判決で債権(と、その権利発生事由)の「存在」(の少なくとも150万円部分)が確定してる。ということはまず、前記判例と違ってXの残部請求の訴え自体は適法であり、そして後訴訴訟物残部250万円と前訴訴訟物の関係を丁寧に考える必要がある。

訴訟物はそれぞれ「存在」している(厳密に言えば、後訴訴訟物の「存在」の有無については後訴手続内で確認する)。そして、たしかに訴訟物は別なので同一関係には立たない。しかし先決関係は?つまり、後訴訴訟物の前提となる要件(権利発生事由?)の「存在」は前訴判決で確定してないと本当に言えるのか?言えないのではあれば、既判力は及ぶのではないか?そうするとYの主張は信義則を持ち出すまでもなくストレートに既判力に拘束されるのではないか?(別の言い方すれば、仮に信義則違反がなくても当事者は主張が許されないのではないか?) また、当事者の問題を経由しなくても裁判所自体も既判力の拘束力によって債権の不存在を内容とする判決がそもそも書けないのではないか?

【混乱終わり。私のクソみたいな思考過程なんかよりも是非studyweb5さんの当該問題の解説を参照いただければと思います】

…おそらく出題者はこの辺りを考えて欲しかったのではないかというのが、studyweb5さんの解説を読んだ上で上記問題文とその後出された出題趣旨を読むと理解できる気がしました。

実は私、ここの問題文はライン引いてるんですよね。けど、信義則に流れて軽視してしまいました。

アガルートの解説講義でも「問題文の誘導に乗るのが重要」という指摘がありますから、ここをもっと突き詰めるべきでしたね。反省。

・しかし、当時の再現答案を見てもアガルートの解説を見てもLECの参考答案読んでも、上記筋ではたぶん書いていません。ここは優秀な人たちでも軒並みやられたということだと思います。だから気にしなくてもいいとも言えるのかもしれません。

ただ、参考となるべき判例の構造を正確に理解して、問題文を適切に読んでいけばめちゃくちゃ無理な出題とは言えない気もするんですよね。

もちろん現実的には判例の構造を全てこのレベルで正確に理解するのは可処分時間的には難しい気もします。おそらく平均的な合格者ですらそうだったからこそ、この問題の罠に捕まった気もするんですよね、認識甘いかもしれませんが。

もう一つ罠があるとしたら、個人的には相殺に関する出題がなければ上記の(おそらく)正解筋で書ける人ももっといたかも?って気がします。私自身、問題文を読んでラインまで書いたのに見過ごしたのは、間違った筋でも主張①と主張②の差異が出せる(つまりは答案になる)ので安心したと言うのがあります。いわば試験脳というか。これ主張②がなければ、「え?なんでこんなシンプルな問題?なんか深みがあるの?」って気付けた気もするんですよね。でも、そうすると簡単すぎるんでしょうか?わかりませんが。(いや、それでも正しく書けた自信ないな、私。笑)

そして、その罠があることを前提にした場合に試験脳に浸かった人間がどうすれば罠を回避できたかを考えると、多分問題文を素直に読むくらいしかないと思うんですよね。問題文から「(前記判例を思いついた人に質問だけど、信義則違反がないとしたら)裁判所ってこの判決書けるの?」っていう裁判官Aのある意味で素朴な問題意識を素直に受け取っていれば、試験脳ではなく既判力の趣旨という基礎的理解から「いや、確かにそれは変ですね」って気付けた可能性も少しはあると思うんですよね。(もしかしたら争点効や信義則などまで民訴の勉強が進んでない人ほど正解筋で書けた可能性すらある。けど、論文までたどりつく人はそういう人はほぼいないか…)

その意味で、この問題は既判力という基礎概念のさらに基礎的理解を問う名作だと思います。アポロさんがAランクの優先順位で選題したのも肯けました。なお、アポロさんのブログではこの問題の予想採点実感というのが書かれていて、これも素晴らしいので興味ある方は是非。

aporo104.hatenablog.jp

・結局、「問題文を素直に読もう」という、あらゆる試験の基礎にして神髄を見せつけられる問題だった気もします。考えすぎかもしれませんが。笑

・けど、多分この問題の問題意識は多くの受験生が事前に用意してなかったと思うのです。だから、もし問題文から適切に正解筋を引きずり出せてたら、劇的に得点が跳ねてたのかもしれません。そうすると、数年単位の勉強の成果が最後の70分の立ち振る舞いで変わると言えるわけで、シンプルに怖いと思いました。本番での動き方は日頃から意識しないといけませんね。

・いや、改めて予備試験ふけぇ…です。

 

こんなところでしょうか。

めちゃくちゃ長くなりましたね。次回からは出来るだけ抑えます。

今回も長文・駄文失礼いたしました。

以上です。

 

【今回の問題に関連する予備校講座】

私が総合講義300を受講していたアガルートでは司法試験 | 予備試験 論文過去問解析講座 がリリースされてます。

この講座ではプロ講師による答案例も入手できますし、この記事を読んで同書による演習に興味が出た方は受講を検討してみるといいとおもいます。

【予備試験の参考になるサイト】

最近、こちらのブログを良く参照しています。

(リンクの許可いただきありがとうございます!)

予備試験過去問の優先順位ランクの記事があり、こちらを参考にしつつ過去問にあたるつもりです。

aporo104.hatenablog.jp

 

【参考文献】

この記事を含めて民事訴訟法の論文を作成するにあたっては、以下の記事にある書籍を参考にしています。

 

kyoulaw.hatenablog.com

 

【関連問題】

 

【予備試験答案リスト】

当ブログで作成した、予備試験過去問の答案リストです。

 

kyoulaw.hatenablog.com

 

【このブログの読み方(初めての方用)】

初めての方はこちらをご一読ください。答案を読んでいただく際の注意点などを詳しめに述べてます。ざっくり言うと一受験生が書く答案なので、不正確だし齟齬もあり得ます等々を書いてます。