kyouの答案

予備試験受験生が悩みながら書いた答案をpdfで(ほぼ)毎日晒していく勉強記録ブログ。答案構成のマインドマップも晒してます。内容も見てもらえたら嬉しいですが、「毎日書いてるね」と思ってもらえるだけで嬉しいです。

予備試験過去問の答案を答練形式で書いてみました。(平成24年。民法、商法、民訴)

予備試験を目指す運営人が予備過去自主答練(平成24年民事系)をやってみました。

当ブログの107・108・109通目の答案です。

この記事では民事系の論文を紹介します。

 

問題文も例の如く法務省HPからダウンロードしました。

 

 

【私の答案】

⑴雑な感想

これは先週末に解いた問題です。答案構成が時間かかりましたね。民法・商法は条文検索に時間がかかりました。ただ、いまいちよくわからない出題ばかりでしたねー。

また、この問題(具体的には民訴ですが)、結構人によって考え方が違っていて、私も今、出来るだけ多くの人のご意見を伺っているところです。

ですから、以下の記述は基本的に相対的または独自色が強く、私もまだ検討している途中であることをご承知おきいただければと思います。

 

⑵私が問題文にした書き込みと答案構成です。過去問の問題文は著作権的に問題なさそうなので掲載します。答案以上に判読不能ですが、まあ、恥を晒すブログなので…笑(作成所要時間93分。民法42分、商法32分、民訴19分)

drive.google.com

 

民法

設問1のテーマは人的保証の制度を物上保証人に使えるかというものでした。この中で両者の差異を論じさせたかったのかな?と。なんとなく旧試っぽいというか、なんというか。事情を処理していくというよりは理論的な説明が求められている気がしました。嫌いじゃないんですけど、ちょっと今の予備っぽくないような気がするんですがどうでしょう?

私の場合、3科目の答案構成を先に済ませてから書き始めるので自分の考えた理屈を忘れないように丁寧めに書き込んでます。けど、うーん。ここの振る舞い方も考えときたいです。時間かかるんですよね、やはり。そして、結局は構成に書くことは答案で書くので無駄が多い気がしてます。この辺りをどれくらい書き込むかもこれから意識していきたいと思っています。

 

・商法

会社法、商法、手形小切手法と網羅的な出題。もう、もはや出て欲しいんですよね、こういう問題。商行為法とか手形小切手法とかはなんでか知らないけど、結構検討してきていて、元とりたい気がします。

「重要な財産の…譲受け」。あてはめて欲しそうな事情があるのでこれを素直に使いました。

利益相反。この問題は「Y社からみて」の問題点ですから、そこに焦点を絞るべきです。のはずが、構成段階ではX社から見ての利益相反を検討したくさいですね。笑 いや、マジあぶねーです。あまり覚えてないんですけど、多分答案を書きながら修正したんだと思います。そうすると、まずY社取締役BはY社と取引していないので2号を切ります。ここでは名義説、計算説すら触れてません。どちらの説であろうが、BとYの取引がなければ2号は成立する余地がないからです(多分)。そして3号を検討という流れでした。

その後、内部手続を欠いたこれらの取引の効力が問われていますが、ここで私はちょっと勇気が要りました。というのも、これ最終的な結論を出すには厳密には民法表見代理まで行く必要があると思ったからです。356条2項によれば承認を受けた利益相反取引民法108条が適用されない、ということは反対解釈すると承認を欠くと民法108条の適用を受けると考えるの自然です。そして、108条は無権代理とみなす規定です。民法で「無権代理でしたね、はい、終わり」ということは基本あり得ず、表見代理を検討するはずだと思いました。ここまで来ると、もはや普通に民法の問題なんですね。私、実はこの問題を前に解いた時はここまで丁寧に検討して6p?ぐらいまでいきました笑 しかし、この問題文をよく読むと「会社法上及び商法上どのような点が問題となるか」と書かれています。「これ多分、民法の話はするなってことだよな?ゆるく善意の第三者保護するよ?いいな?信じるよ、予備試験?ね?」と考え、今回は民法については丸ごとカットしましたが、そこに勇気が要りましたね。多分だけど、うん、これでいい気がします。笑

そして、商事売買における解除。私、ここでも構成段階では商事売買プロパーの解除権があり根拠条文は商法526条であると勘違いしてたんですよね。けれど、答案書いててあてはめようとしてる時に気づいたんですが、これ解除権の根拠条文は民法541条本文なんですよね?多分。そして、その解除権が商法526条で制限されるという構造なんでは?と気づきました。違うかな?答案ではそんな感じで書いてます。

あとはみんな大好き河本フォーミュラですね。たぶん名前だけ人気なんだと思うんですけど。少なくとも私は覚えづらい規範なので好きじゃないです。笑

 

・民訴

設問1

これはねー、どうなんでしょうねー。難しい問題ですよねー。

まず既判力の思考プロセスは答案作成後に『読解民事訴訟』などを読んで改めて整理したのですが、

①確定判決のどの部分に既判力が「生じ」るか→②その既判力は後訴に「及ぶ」(作用する)か→③及ぶとして、どのように及ぶ(作用する)か

という感じがいいのかな?と思ってます。

とりあえず、これに沿って今回の私の筋をまとめると

①第1訴訟確定判決では「XのYに対する売買契約代金債権の一部である150万円が存在すること」について既判力が生じる

②そして、前訴と後訴では先決関係が認められるのでこの既判力は後訴に及ぶ(作用する)

③そして、主張①は既判力によって遮断され許されない。主張②は既判力の時的限界の範囲内に収まっている(相殺適状は基準日前の事由である)ので遮断されるように思えるが、結論としては遮断されず許される。

としました。少なくとも前掲書LECの当時の再現答案にはA評価含めてこの筋はなくアガルートもこの筋ではありません。

元々はいつも参考にしているstudyweb5さんの筋です。それを私なりに数ヶ月この問題を思い出すたびに何回か頭の中で検討し直してきた筋ですね。はいえ、大筋はほぼ同じはず。(めっちゃ筋って言う、この人)

 

 

たぶん当時の再現答案、大手予備校の見解と大きく異なるのは②の部分ですかね…。

 

まず、理由中の判断であるはずの契約の成立には既判力が生じないという部分については、答案作成後に読んだ『読解民事訴訟法』のp150に言及される「主文中の判断」に抵触するというパラフレーズを経ることで作用レベルまでクリアできるのではないか?という気もし始めています。前訴で認められなかった錯誤無効(と表記されますが現行では取消ですかね)の主張が(同一関係に立たない)後訴で主張された場合に(信義則でも争点効でもなく)既判力で遮断される事例が例示されてました。同書では、一見すると前訴判決の理由中の判断である錯誤無効の後訴での再主張を「主文中の判断」というタームを経由して既判力で遮断する結論を採っているのですね。これは一つの方向としてアリなのではないかと思ってますがどうなんでしょう。

 

一方、いろいろな人の意見を伺う中で、そもそも作用は同一関係、先決関係、矛盾関係だけに限定して判断する必要あるのか?という根本的な疑問もよぎっています。同一関係は主文そのものというほぼ形式的な判断であるといえ、検討は必須だと思います。しかし、先決関係、矛盾関係は主文そのもの(「原告は被告に150万円を支払え」とか)にそもそも顕れていないにも関わらず、訴訟物の関係をある程度実質的に判断している気がします。例えば〇〇円の請求が前訴で認められた場合に後訴で同額の〇〇円の不当利得返還請求をした場合、矛盾関係で既判力があると認めるためには主文だけではなく請求原因を織り込んで確認する必要があると思うのです(違うかな?)。なぜなら、これらの主文「だけ」をどれだけ見比べても矛盾関係はハッキリとは見えてこないですよね。

そもそも「原告は被告に150万円を支払え」という主文だけでは訴訟物であるはずの売買代金債権なのか賃料債権なのかは顕れていませんから、「主文に包含するもの」=訴訟物というのも自明ではなく一定の解釈を経由している気がします(なお、ここで「主文に包含するもの」≠訴訟物としてしまうと、その後の訴訟物同士を検討して同一関係かを判断する等の論述の前提を失うはず、だと思います)。

そうすると、むしろ作用の場面を同一関係、先決関係、矛盾関係に限定せず、既判力の趣旨(判決間の抵触を防止して民事訴訟制度への信頼を保つための制度的効力、など?)に立ち返って少しだけ緩やかに認めるという解釈も一つの立場としてあり得るのではないか?と考えて始めているところです(というか、そのように指摘される講師の方も複数確認いたしました)。

裁判所の労力、法的安定性を考えると、信義則を乱発したり争点効を認めたりするよりもそういう解釈の方向性の方が民事訴訟という法制度全体への負担が少ないような気もするんですよね、完全に直感的なもので細部を緻密に考えた訳ではないのですが(そして、そんなことは私にはできるわけないのですが)。

 

作用レベルについてさらに言えば、たぶんなんですけど再現答案の方々は平成10・6・12の判例が念頭にある気がするんです。確かに、この判例は既判力の作用を否定し信義則構成で臨んでいます。

ただ、この判例は前訴が棄却されていて前訴請求の「権利義務関係がないこと」が確定している事例なので、今回の事例のように第1訴訟請求の「権利義務関係があること」が確定してる場合とは、まず前提が大きく異なる気がするんですよね。「権利義務関係がないこと」を確定した前訴判断に後訴判断が抵触する可能性は、同一関係に立つ後訴訟物を「ある」と判断する以外はあり得ない気がしてて…先決関係や矛盾関係を検討しようにも、抵触する対象の権利義務関係が「ない」んですもんね(合ってるかな?ちょっと自信ないですけど。笑)。つまり、同一関係さえなければ他を検討する必要がなかったのが同判例だったと思うんです。だからこそ、同判例は明示的一部請求と残部請求の訴訟物は別個である(つまり同一関係に立たない)ことを前提としつつも、先決関係・矛盾関係をなんら検討することなく作用を否定し、よって既判力が及ぶ余地がなくなったから信義則を使った(信義則が一般原則であることからすると、「使わざるを得なかった」という表現が適切な気がします)んだと、今のところ私は思っています。

けれど、第1訴訟で「権利義務関係があること」が確定したこの問題では、同一関係以外にも先決関係・矛盾関係その他前訴判断に後訴判断が抵触する可能性はありうるのではないか?ということは本問の事例は同判例の射程の外ではないか?という疑念が出てきています。少なくとも両事例の違いは念頭に悩みを示す必要はあるんじゃないかなー?というのが、今のところのこの問題における私の悩みの焦点です。(まあ、答案作成時はそこまで考えが至らないまま書いたのですが笑)

ただ、②についての意見は講師・合格者・優秀な受験生を含む色んな人に聞いてみたけど(そして人伝で聞くのも含めると)結構割れるんですよね。「当然及ぶ」という温度の人から「当然及ばない」という温度の人まで様々で。それだけ難しい問題なんだと思います。少なくとも私は何度考えてもここをハッキリと「こうだ!」とは言えません。というか今、色んな人の意見が頭の中にあってちょっとパンク気味ではあります。笑

そんなこんなで、とりあえずは作用ありという答案にしました。

 

③については②で作用するとした以上は基本的処理の範疇なのかな?と思っています。

ただ、気になったのは当時の再現答案ではA答案ですら「後訴への作用を否定して主張①を信義則で処理し、(それにも関わらず)相殺(主張②)は既判力の時的限界の問題として検討する」という処理も多いことです。

これ、たぶん今やったらかなりヤバいミスだと思うんですよね。時的限界は既判力の限界の話、すなわち③のレベルの話であり、②のレベルで作用していることが前提なはずです。作用してないのにこの話になることはあり得ない気がしています…知らないだけでなにか学説とかあるのかな?(LECとstudyweb5さんとのこの問題についての解説は大筋でかなり異なるのですが、この点に関してだけは一致していて、共にこの論述の流れは誤りであると指摘しています。現時点では私もそうではないかと思っています)。作用を否定して信義則や争点効で主張①を処理したなら、主張②も同様の法理で処理すべきなんだと思っているのですが、どうなんでしょう?

出題当時はこの辺りの整理があまり共有されていなかったのでしょうか…むしろ、この出題がきっかけでこの部分の整理が共有されることになったのでしょうか?謎ですね。

 

⑶私の答案はこちらです。(作成所要時間120分。民法36行目、商法56行目までの途中答案)

リンクで飛ぶと拡大できます。

書いたものをそのままpdfにしてgoogleドライブで公開していますので、乱筆御免でよろしくお願いします。

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ここはざっくりと答案作成の過程を。

民法36行目、商法56行目までの途中答案2通となりました。まず、民訴はそこそこの時間で終わりました。そして、民法の設問1まで書き終わったのですが、この時点で残り48分でした。

今は「今日本番だったとしてより得点を取るためにどう振る舞うか」を考えながら週末自主答練をやっているので、ここで設問2に行くか商法に行くかを考えました。

設問2について考えると、この時点では遺留分侵害請求を使うところまでしか構成できておらず、(結果的には違いましたが)煩雑な計算をする必要があるのではないか?そして、設問2の配点はそこまで多くないのではないか?(3割、多くて4割と読みました)と考えて、全く書かないよりも48分という時間からすると書き切れる可能性がまだある商法を書いたほうがその時点からでは点が取れるのではないか?と考えて商法に行きました。

まあ、結果として設問2は大した計算ではなかったし、商法も書ききれなかったんですけど。笑 答案では論述を補充してます。

まあ、仕方ないです。もっと精進します。

 

こんなところでしょうか。

今回はかなり考えるところが多く、めちゃくちゃ長くなってしまいましたね。失礼いたしました。

感想は以上です。

 

【復習のまとめ】

ここでは復習内容をまとめます。が、この問題はまだ復習してないので、後日更新します。

【今回の問題に関連する予備校講座】

私が総合講義300を受講していたアガルートでは司法試験 | 予備試験 論文過去問解析講座 がリリースされてます。

この講座ではプロ講師による答案例も入手できますし、この記事を読んで同書による演習に興味が出た方は受講を検討してみるといいとおもいます。

【予備試験の参考になるサイト】

最近、こちらのブログを良く参照しています。

(リンクの許可いただきありがとうございます!)

予備試験過去問の優先順位ランクの記事があり、こちらを参考にしつつ過去問にあたるつもりです。

aporo104.hatenablog.jp

 

【参考文献】

この記事を含めた参考文献の紹介です。

 

kyoulaw.hatenablog.com

 

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【関連問題】

 

【予備試験答案リスト】

当ブログで作成した、予備試験過去問の答案リストです。

 

kyoulaw.hatenablog.com

 

【このブログの読み方(初めての方用)】

初めての方はこちらをご一読ください。答案を読んでいただく際の注意点などを詳しめに述べてます。ざっくり言うと一受験生が書く答案なので、不正確だし齟齬もあり得ます等々を書いてます。